みなさん 突然ですがコレ何だと思います?
コレわかった人 凄い。
実はこれ、昨年ゲンゴロウ(クロゲンゴロウ)が蛹から成虫になる為に彼らが自作した、土で作ったカプセルなのです。
ゲンゴロウの幼虫ってこんな形↓してるのに本当に器用でしょう ^ – ^
せっせと幼虫が上陸してこのシェルターを自作してると思うと驚愕ですよね。
ゲンゴロウ類はタガメなどと違って、幼虫から蛹になり成虫になる「完全変態」という手法を使って生きています。
幼虫期では水中生活をし、蛹になるために少し湿り気のある陸上エリアへ上陸し穴を掘って土中で蛹になります。
そして成虫になったら空を飛んで新天地へ行き、結婚相手を探す… そんなドラマチックな生活を送っている生き物なんです。
ゲンゴロウ類が生きていくのに必要な条件とは、
1)産卵場所がある
→植物の茎の中に卵を産み付けるので、セリやオモダカ、コナギやミズアオイなどの在来の田んぼの雑草とされる水辺の草達が沢山生息しているところ。つまり田んぼでも除草剤の影響の無い無農薬田や放棄田などが彼らの生きていける場所になります。
2)蛹になるまでの間、殺虫剤などの農薬の影響が無く水の枯れない餌が豊富な浅い水辺がある
→冬まで水が枯れない餌となる昆虫やオタマジャクシや魚類が多種多様に住む、豊かな環境が必要になってきます。
3)幼虫が上陸して蛹になれる場所がある
→彼らは前述のように土の中で蛹になるので、水辺から上がってすぐに穴を掘って潜れる「湿り気のある土」が必要になります。高い畔波板やコンクリート等で田んぼや池の周囲を固めてしまっている場所では彼らは蛹になることができず生きていけません。
4)成虫が生活し、越冬できる水深のある水辺がある
→ゲンゴロウ類は成虫になると幼虫とはまるで違う生活になり、羽が生えるのでいつでも何処へでも飛んで移動が出来るようになります。
それからタガメなどと違って山や林の落ち葉の下などで越冬せず、落ち葉などが堆積した水深のある程度ある場所で水中越冬するので、水深のある水辺が近くにある事が大切な条件になってきます。
以上のことから、里でも、昔ながらの稲作やその周辺の管理手法を継続していたり、放棄田など、原生自然ではないけれど自然度が高い場所にしか、彼らが生きていける環境は残っていないことになります。
ゲンゴロウ類を守るための農法や農業なんか、普通の百姓目線ではまず発想としては出てきません。でもそんなゲンゴロウたちが優雅に生活する環境で稲作ができたり暮らしを営めるって場所を想像したら、とても豊かな世界に感じられませんか ^ – ^
みんなで、この子たちの命を繋いでいきたい。
そう強く思う。なぜならこの子達が好きだから。
私たちのひとつの大きな願いです。
農園主