3月に入りましたね。当農園では春の出産ラッシュが続いています。
4月に新たな稲という生命の一年をまた始めるべく、種籾の調整も昨日やっと終わりました。
ミナミメダカがここにきて次々に新生児を生み出しています。タナゴたちも早いもので種類によっては既に婚姻色が出始めました。
ゲンゴロウやタイコウチ、タガメ達はまだあともう少し眠りたいご様子・・
彼らが目覚める頃には既に沢山の生き物達が営みを開始していて、その早めに活動を開始した生き物達が生態系の上の生き物達の貴重な冬眠明けの食料となってゆきます。
さて!うちのニホンアカガエル達もここにきてシーズンのラストスパート!みんな必死で頑張っています。
※ちなみに先日の節分の頃に産み落とされた卵達は既にオタマジャクシとして泳ぎ始めましたので皆様ご安心を↓
日々観察していてやっと彼らと心が通ってきたのか、私も色々とニホンアカガエル達の気持ちがわかってきたような、そんな感じがしています。
どうも彼らの世界はこういう仕組みで動いているようです↓
夕方日が落ちそうになったら、オス達が自分の縄張りとしている水辺に浸かってスタンバイします。
不思議なことに、毎日、必ず同じ場所に同じ子(オス)がスタンバイします。
そして日が落ちると同時に「コッコッコ」と一匹のオスが鳴き始めると、負けじと他のオス達が一斉に鳴き始めます。
どうもオス達は自分達の水辺毎で決まった縄張りを持っていて、そこで一斉に負けないように自分のことを、縄張りである産卵場所をアピールし、メスに結婚相手に相応しいかどうか総合点で判断を下されるようなのです。
メスもシーズン中何度も何度も産卵ができる訳ではないので、少ないチャンスをしっかりモノにしようと結婚相手と場所の選定と出産のタイミング選びに非常に慎重です。
そして必ず満月近くもしくは満月の日に合わせるように出産が行われます。
それから賢いというかとても不思議なのですが、既に多くの卵が産み付けられてある水辺にはどういう訳かほとんど産卵をしないのです。
おそらくですが、オタマジャクシが卵からかえったら、水中の藻などを食して大きくなっていくのですが、どうしても水辺のキャパは限られてしまいますので、オタマジャクシ同士で食料が足りなくなるほど高密度にならぬよう、同じ場所に出来るだけ産み付けないよう、きちんと場の現状把握をしてから自分達の縄張りを決定しているようなのです。 すごいなぁ
さてさて、線引きは難しいのですが、いわゆる自然界の生き物達と人間との間にはなんとも言えない絶妙な距離感が必要ですよね。
これは田んぼや自然環境に携わっていらっしゃる方なら「ウンウン」と頷ける事柄なのではないでしょうか。
彼らもこちらの存在をもちろん把握しており、通じ合えば安心して出産・子育てを行ってくれます。
ただ、少しでも信頼を裏切るような行為があると、彼らはそそくさと逃げていなくなってしまいます。
当農園でも、目立つところでいくと、毎年巣をしてくれるキジバトや田んぼのカルガモやタシギちゃんやヒバリちゃん、カヤネズミちゃん達なんかも本当にそうなのです。
安心してその環境に身を置いてくれるのは、暗黙の何かでお互いが繋がっている証拠。
何だろう、それは彼らを愛でるという気持ちよりも、同じ一つの波長の生物としての信頼関係?同じ世界のお互い様感?
人間都合の欲望やよくあるスケベ心を排除した生き物同士の『無の境地』がそこには存在しているのかもしれません。
それを、広義の意味での
『自然』
と呼ぶのかもしれませんね。
農業の現場にずっと立ってきたからこそ言えるのですが、干渉しすぎたり、ましてや「支配」や「利用」という、どうしても遺伝子レベルで発動してしまう人間特有のエネルギーというのは、残念ながら簡単に環境相手には伝わってしまうものです。
地球は、世界は今現在もどんどん上昇しています。
「波長を何に合わせるか?」というよりも『自分の内側から何を発するか』
常に私も自問自答しながら日々を選択し続けています。
自然界も人間世界においても、いつも貴重なきっかけを投げかけてくれます。
諦めることは簡単ですが、一歩引いて深呼吸してじっと観察してみる。
本当に学びは深いですね。
私も日々気づかされることでいっぱいです。
いつもありがとう。
農園主