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人災

先日、この時期は惑星ごとドライブがかかる大切な時期とお話ししましたが、日本には元々いなかった日本の外から持ち込まれた生き物たちにとっても、それは同じでしてね・・皆元気いっぱい頑張っていて、ちょうど、現在各地で非常に問題になっている「アライグマ」の出産時期でもあるのですよ。

このあたり兵庫県南部地方でも、アライグマは近年急速に生息範囲を広げており、特に山間地でない、住宅地に近い農村地での繁殖が拡大しています。

近年うちでも被害が続出するようになり、はじめは干し柿を食べられたところから始まりましたが、野菜や果樹、ビオトープの生き物達へも被害が広がってゆき、昨年からこの冬にかけて少し小康状態が続いていたので安心していたのですが、ホッとした矢先、

昨夜、遂にやられてしまいました。

貴重な累代飼育のカワバタモロコ、イチモンジタナゴ、ニッポンバラタナゴ、この時期に繁殖活動を終えるニホンアカガエルにヤマアカガエルに至るまでも・・・この度、アライグマによる甚大な被害を受けてしまったのです。

当研究所としては過去最大の被害です。

貴重なマブナもこの通り、、悲しすぎます。
全部食べずに惨殺しているところも、本当にやるせないです。

累代飼育の貴重な貴重なカワバタモロコも無惨にも襲われました。
アライグマは夜行性です。目がよくそして鼻もきく、何より手先が猿並みに器用なので綺麗に跡形もなく魚類をすくって捕まえて食べてしまいます。
カワバタモロコは溶存酸素が低い環境にも適応する種で、水溜りのような過酷な環境でも生きられるという特徴を持っています。昼間の止水域では酸素濃度が深いところでもある程度高いのですが、夜になると軒並み水中の酸素濃度は低下します。
そんな昼夜の環境変化に彼らは適応し、浅瀬に移動して眠ることで命を守っています。
そんな習性を嘲笑うかのように浅瀬にいた子たちが軒並み襲われた跡が残っていました。
本当にやるせないです。
ヤマアカガエルの卵塊は何故か食べてられていない様子でしたが、ぽちょんと浮かんがいた親ガエルは徹底的に食べられた事でしょう・・なんと言ってもカエルたちはアライグマの大好物なのですから。。

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当研究所では、人間の行いによって今まさに絶滅に追いやられようとしている希少生物を保護・繁殖させ、元あった環境を復活させ自然環境に戻すプロジェクトを進めています。

何故なら、彼らが住まう、いきいきと住まう環境が、次世代の人間が住まう環境に相応しい。そしてその生き物たちの営みの上に次世代の農、農業が成立すると悟ったからです。

田んぼ周辺の里の環境は様々な要因が重なり、昨今徹底的に現在進行形で破壊されています。日本在来種の保護、保存に関しては待ったなしという状況が続いています。

稲や作物を直接食害するヌートリアも貴重なタナゴの産卵床である希少な淡水二枚貝をカイボリの際に食べあさっていますし、埼玉ではヌートリアに似た小型のマスクラットと呼ばれる新しい外来種の侵入・繁殖も確認されており、もうメチャクチャな状態です。

アメリカ大陸原産(ミシシッピアカミミガメ、アメリカザリガニ、ブラックバス、ブルーギル等)の生物による、日本古来からの固有種の駆逐が日本全土で広がりすぎて、種の絶滅への加速が止まりません。

彼らは持ち込まれて増え、ただ悪気なく純粋に生きているだけなのですが、食害にとどまらず、日本古来の種が生きていく環境自体を大きく変えてしまうという非常に大きな負の力を持っており、その被害はとどまることを知りません。そして彼らの周りにはビジネスという経済社会の秩序と連動してしまっている側面があるのもとても厄介なところなのです。

日本の固有種は、文字通り日本固有種であり、特に琵琶湖周辺の環境は非常に歴史が古く、沢山の水辺に住まう日本固有種が生息してきました。

そんな琵琶湖でも既に絶滅してしまったとされる種も出てきている状況で、環境破壊はとどまることを知りません。

また、琵琶湖周辺に限らず、全国の田んぼや溜池や貴重な山の斜面には、環境を著しく破壊してしまうとされている異国による太陽光パネル侵攻と呼ばれる占拠も進んでいるという、本当に目を覆いたくなるような惨状がずっと続いているのです。

取り返しがつかない、次世代に絶対に残して欲しくない負の遺産達が、日本各地、日本全土に広がってしまっているのです。

以前このブログでも書きましたとおり、

我々に全てを託し、そして亡くなっていった数多の存在達の上に、今日の私たちはあります。

若い次世代の皆さん

ある時期に足を踏み外し、そして招いてきた、この代々続く災いを、そろそろ僕たちの代で終わりにしませんか?

農園主